第1節 大都市に関する特例(第252条の19~第252条の21)

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第252条の19(指定都市の権能)
政令で指定する人口五十万以上の市(以下「指定都市」という。)は、次に掲げる事務のうち都道府県が法律又はこれに基づく政令の定めるところにより処理することとされているものの全部又は一部で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することができる。
児童福祉に関する事務
民生委員に関する事務
身体障害者の福祉に関する事務
生活保護に関する事務
行旅病人及び行旅死亡人の取扱に関する事務
五の2 社会福祉事業に関する事務
五の3 知的障害者の福祉に関する事務
母子家庭及び寡婦の福祉に関する事務
六の2 老人福祉に関する事務
母子保健に関する事務
障害者の自立支援に関する事務
食品衛生に関する事務
墓地、埋葬等の規制に関する事務
十一 興行場、旅館及び公衆浴場の営業の規制に関する事務
十一の2 精神保健及び精神障害者の福祉に関する事務
十二 結核の予防に関する事務
十三 都市計画に関する事務
十四 土地区画整理事業に関する事務
十五 屋外広告物の規制に関する事務
2 指定都市がその事務を処理するに当たって、法律又はこれに基づく政令の定めるところにより都道府県知事若しくは都道府県の委員会の許可、認可、承認その他これらに類する処分を要し、又はその事務の処理について都道府県知事若しくは都道府県の委員会の改善、停止、制限、禁止その他これらに類する指示その他の命令を受けるものとされている事項で政令で定めるものについては、政令の定めるところにより、これらの許可、認可等の処分を要せず、若しくはこれらの指示その他の命令に関する法令の規定を適用せず、又は都道府県知事若しくは都道府県の委員会の許可、認可等の処分若しくは指示その他の命令に代えて、各大臣の許可、認可等の処分を要するものとし、若しくは各大臣の指示その他の命令を受けるものとする。

第252条の20(区の設置)
指定都市は、市長の権限に属する事務を分掌させるため、条例で、その区域を分けて区を設け、区の事務所又は必要があると認めるときはその出張所を置くものとする。
2 区の事務所又はその出張所の位置、名称及び所管区域並びに区の事務所が分掌する事務は、条例でこれを定めなければならない。
3 区の事務所又はその出張所の長は、当該普通地方公共団体の長の補助機関である職員をもって充てる。区にその事務所の長として区長を置く。
4 区に選挙管理委員会を置く。 区長又は区の事務所の出張所の長は、当該普通地方公共団体の長の補助機関である職員をもって充てる。
5 区に選挙管理委員会を置く。
6 第4条第2項(事務所位置の考慮)の規定は第2項の区の事務所又はその出張所の位置及び所管区域に、第175条第2項(長の権限分掌機関の長の指揮監督権)の規定は第3項の機関区長又は第4項の区の事務所の出張所の長に、第2編第7章第3節(委員会及び委員)中市の選挙管理委員会に関する規定は前項の選挙管理委員会について、これを準用する。
7 指定都市は、必要と認めるときは、条例で、区ごとに区地域協議会を置くことができる。この場合において、その区域内に地域自治区が設けられる区には、区地域協議会を設けないことができる。
8 第202条の5第2項(地域協議会の構成員の選任)から第5項(地域協議会の構成員の報酬)まで及び第202条の6(地域協議会の会長及び副会長)から第202条の9(地域協議会の組織及び運営)までの規定は、区地域協議会に準用する。
9 指定都市は、地域自治区を設けるときは、その区域は、区の区域を分けて定めなければならない。
10 第7項(指定都市の区地域協議会の設置)の規定に基づき、区に区地域協議会を置く指定都市は、第202条の4第1項(地域自治区の設置)の規定にかかわらず、その一部の区の区域に地域自治区を設けることができる。
11 前各項に定めるもののほか、指定都市の区に関し必要な事項は、政令でこれを定める。(H26.5改)

第252条の20の2(総合区の設置)(H26.5改)
指定都市は、その行政の円滑な運営を確保するため必要があると認めるときは、前条第1項の規定にかかわらず、市長の権限に属する事務のうち特定の区の区域内に関するものを第8項の規定により総合区長に執行させるため、条例で、当該区に代えて総合区を設け、総合区の事務所又は必要があると認めるときはその出張所を置くことができる。
総合区の事務所又はその出張所の位置、名称及び所管区域並びに総合区の事務所が分掌する事務は、条例でこれを定めなければならない。
3 総合区にその事務所の長として総合区長を置く。
4 総合区長は、市長が議会の同意を得てこれを選任する。
5 総合区長の任期は、四年とする。ただし、市長は任期中でおいてもこれを解職することができる。
6 総合区の事務所の職員のうち、総合区長があらかじめ指定する者は、総合区長に事故があるとき又は総合区長が欠けたときは、その職務を代理する。
7 第141条(兼職の禁止)、第142条(関係私企業からの隔離)、第159条(事務の引継ぎ)、第164条(副知事及び副市町村長の欠格事由)、第165条第2項(退職の申出)、第166条第1項及び第3項(副知事及び副市町村長の兼職禁止等)並びに第175条第2項(権限分掌機関の長の役割)の規定は、総合区長について準用する。
8 総合区長は、総合区の区域に係る政策及び企画をつかさどるほか、法律若しくはこれに基づく政令又は条例により総合区長が執行することとされた事務のうち主として総合区の区域内に関するもので次に掲げるものを執行し、これらの事務の執行について当該指定都市を代表する。ただし、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがある場合は、この限りでない。
総合区の区域内に住所を有する者の意見を反映させて総合区の区域のまちづくりを推進する事務(法律若しくはこれに基づく政令又は条例により市長が執行することとされたものは除く。)
総合区の区域内に住所を有する者相互間の交流を促進するための事務(法律若しくはこれに基づく政令又は条例により市長が執行することとされたものを除く。)
社会福祉及び保健衛生に関する事務のうち総合区の区域に住所を有する者に対して直接提供される役務に関する事務(法律若しくはこれに基づく政令又は条例により市長が執行することとされたものを除く。)
前三号に掲げるもののほか、主として総合区の区域内に関する事務で条例で定めるもの。
9 総合区長は、総合区の事務所又はその出張所の職員(政令に定めるものを除く。)を任免する。ただし、指定都市の規則で定める主要な職員を任免する場合においては、あらかじめ、市長の同意を得なければならない。
10 総合区長は、歳入歳出予算のうち総合区長が執行する事務に係る部分に関し必要があると認めるときは、市長に対し意見を述べることができる。
11 総合区に選挙管理委員会を置く。
12 第4条第2項(事務所の設定又は変更)の規定は第2項の総合区の事務所又はその出張所の位置及び管轄区域について、第175条第2項(権限分掌機関の長の役割)の規定は総合区の事務所の出張所の長について、第2編第7条第3節(市町村の廃置分合及び境界変更)中市の選挙管理委員会に関する規定は前項の選挙管理委員会について準用する。
13 前条第7項から第10条までの規定は、総合区について準用する。
14 前各項に定めるもののほか、指定都市の総合区に関し必要な事項は、政令でこれを定める。

第252条の21(指定都市の政令への委任)
法律又はこれに基づく政令に定めるもののほか、第252条の19第1項(指定都市の権能)の規定による指定都市の指定があった場合において必要な事項は、政令でこれを定める。

第252条の21の2(指定都市都道府県調整会議)(H26.5改)
指定都市及び当該指定都市を包括する都道府県(以下この条から第252条の21の4までにおいて「包括都道府県」という。)は、指定都市及び包括都道府県の事務の処理について必要な協議を行うため、指定都市都道府県調整会議を設ける。
2 指定都市都道府県調整会議は、次に掲げる者をもって構成する。
指定都市の市長
包括都道府県の知事
3 指定都市の市長及び包括都道府県の知事は、必要と認めるときは、協議して、指定都市都道府県調整会議に、次の掲げる者を構成員として加えることができる。
指定都市の市長以外の指定都市の執行機関が当該執行機関の委員長、委員若しくは当該執行機関の事務を補助する職員又は当該執行機関の管理に属する機関の職員のうちから選任した者
指定都市の市長がその補助機関である職員のうちから選任した者
指定都市の議会が当該指定都市の議会の議員のうちから選挙により選出した者
包括都道府県の知事以外の包括都道府県の執行機関が当該執行機関の委員長、委員若しくは当該執行機関の事務を補助する職員又は当該執行機関の管理に属する機関の職員のうちから選任した者
包括都道府県の知事がその補助機関である職員のうちから選任した者
包括都道府県の議会が当該包括都道府県の議会の議員のうちから選挙により選出した者
学識経験を有する者
4 指定都市の市長の市長又は包括都道府県の知事は、指定都市の市長又は包括都道府県の知事以外の執行機関の権限に属する事務の処理について、指定都市都道府県調整会議におえる協議を行う場合には、指定都市都道府県調整会議に、当該執行機関が当該執行機関の委員長、委員若しくは当該執行機関の事務を補助する職員又は当該執行機関の管理に属する機関の職員のうちから選任した者を構成員として加えるものとする。
5 指定都市の市長又は包括都道府県の知事は、第2条第6項(事務の競合避止)又は第14項(住民福祉の増進義務)の規定の趣旨を達成するために必要があると認めるときは、指定都市の市長にあっては包括都道府県の事務に関し当該包括都道府県の知事に対して、包括都道府県の知事にあっては指定都市の事務に関し当該指定都市の市長に対して、指定都市都道府県調整会議において協議を行うことを求めることができる。
6 前項の規定により求めを受けた指定都市の市長又は包括都道府県の知事は、当該求めに係る協議に応じなければならない。
7 前各項に定めるもののほか、指定都市都道府県調整会議に関し必要な事項は、指定都市都道府県調整会議が定める。

第252条の21の3(指定都市と包括都道府県の間の協議に係る勧告)(H26.5改)
指定都市の市長又は包括都道府県の知事は、前条第5項の規定による求めに係る協議を調えるため必要があると認めるときは、総務大臣に対し、文書で、当該指定都市及び包括都道府県の事務の処理に関し当該協議を調えるため必要な勧告を行うことを求めることができる。
2 指定都市の市長又は包括都道府県の知事は、前項の規定による勧告の求め(以下この条及び次条において「勧告の求め」という。)をしようとするときは、あらかじめ、当該指定都市又は包括都道府県の議会の議決を経なければならない。
3 指定都市の市長又は包括都道府県の知事は、勧告の求めをしようとするときは、指定都市の市長にあっては包括都道府県の知事、包括都道府県の知事にあっては指定都市の市長に対し、その旨をあらかじめ通知しなければならない。
4 勧告の求めをした指定都市の市長又は包括都道府県の知事は、総務大臣の同意を得て、当該勧告の求めを取り下げることができる。
5 総務大臣は、勧告の求めがあった場合においては、これを国の関係行政機関の長に通知するとともに、次条第2項の規定により指定都市都道府県勧告調整委員を任命し、当該勧告の求めに係る総務大臣の勧告について意見を求めなければならない。
6 前項の規定により通知を受けた国の関係行政機関の長は、総務大臣に対して、文書で、当該勧告の求めについて意見を申し出ることができる。
7 総務大臣は、前項の意見の申出があったときは、当該意見を指定都市都道府県勧告調整委員に通知するものとする。
8 総務大臣は、指定都市都道府県勧告調整委員から意見が述べられたときは、遅滞なく、指定都市の市長及び包括都道府県の知事に対し、第2条第6項(事務の競合避止)又は第14項(住民福祉の増進義務)の規定の趣旨を達成するために必要な勧告をするとともに、当該勧告の内容を国の関係行政機関の長に通知し、かつ、これを公表しなければならない。

第252条の21の4(指定都市都道府県勧告調整委員)(H26.5改)
指定都市都道府県勧告調整委員は、前条第5項の規定による総務大臣からの意見の求めに応じ、総務大臣に対し、勧告の求めがあった事項に関して意見を述べる。
2 指定都市都道府県勧告調整委員は、三人とし、事件ごとに、優れた識見を有する者のうちから、総務大臣がそれぞれ任命する。
3 指定都市都道府県勧告調整委員は、非常勤とする。
4 指定都市都道府県勧告調整委員は、勧告の求めをした指定都市の市長若しくは包括都道府県の知事が前条第4項の規定により勧告の求めを取り下げたとき又は同条第5項の規定による総務大臣からの意見の求めに応じ、総務大臣に対し、勧告の求めがあった事項に関して意見を述べたときは、その職を失う。
5 総務大臣は、指定都市都道府県勧告調整委員が当該事件に直接利害関係を有することになったときは、当該指定都市都道府県勧告調整委員を罷免しなければならない。
6 第250条の9第2項(同一政党の所属禁止)、第8項、第9項(第二号を除く。)及び第10項(委員の罷免事由)から第14項(積極的な政治運動の禁止)までの規定は、指定都市都道府県勧告調整委員に準用する。この場合において、同条第2項(同一政党の所属禁止)中「三人以上」とあるのは「二人以上」と、同条第9項中「総務大臣は両議院の同意を得て」とあるのは「総務大臣」と、「三人以上」とあるのは「二人以上」と、「二人」とあるのは「一人」と、同条第10項(委員の罷免事由)中「二人」とあるのは「一人」と、同条第11項(委員の心身故障と義務違反等)中「両議院の同意を得て、その委員を」と、あるのは「その指定都市都道府県勧告調整委員を」と、同条第12項中「第4項後段及び第8項から前項まで」とあるのは「第8項、第9項(第二号を除く。)、第10項及び前項並びに第251条の21の4第5項」と読み替えるものとする。

第252条の21の5(政令への委任)(H26.5改)
前2項に規定するもののほか、第252条の21の3第1項(協議に係る勧告の求め)に規定する総務大臣の勧告に関し必要な事項は、政令で定める。

第5節 雑則

第2節 中核市に関する特例