第13章 外部監査契約に基づく監査

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第1節 通則(第252条の27~第252条の35)

第252条の27(外部監査契約)
この法律において「外部監査契約」とは、包括外部監査契約及び個別外部監査契約をいう。
2 この法律において「包括外部監査契約」とは、第252条の36第1項(包括外部監査契約の締結)各号に掲げる普通地方公共団体が、第2条第14項(住民福祉の増進努力)及び第十五項(合理化と適正化の努力義務)の規定の趣旨を達成するため、この法律の定めるところにより、次条第1項又は第2項(外部監査契約を締結できる者)に規定する者の監査を受けるとともに監査の結果に関する報告の提出を受けることを内容とする契約であって、この法律の定めるところにより、毎会計年度、当該監査を行う者と締結するものをいう。
3 この法律において「個別外部監査契約」とは、次の各号に掲げる普通地方公共団体が、当該各号に掲げる請求又は要求があった場合において、この法律の定めるところにより、当該請求又は要求に係る事項について次条第1項又は第2項(外部監査契約を締結できる者)に規定する者の監査を受けるとともに監査の結果に関する報告の提出を受けることを内容とする契約であって、この法律の定めるところにより、当該監査を行う者と締結するものをいう。
第252条の39第1項に規定する地方公共団体 第75条第1項「監査委員に対する選挙権の有する者からの事務の監査」の請求
第252条の40第1項に規定する普通地方公共団体 第98条第2項「監査委員に対する議会からの事務の監査」の請求
第252条の41第1項に規定する普通地方公共団体 第199条第6項「監査委員に対する長からの事務の監査」の要求
第252条の42第1項に規定する普通地方公共団体 第199条第7項「監査委員に対する長からの財政的援助等の監査」の要求
第252条の43第1項に規定する普通地方公共団体 第242条第1項「監査委員に対する住民からの監査」の請求

第252条の28(外部監査契約を締結できる者)
普通地方公共団体が外部監査契約を締結できる者は、普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有する者であって、次の各号のいずれかに該当するものとする。
弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。)
公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む。)
国の行政機関において会計検査に関する行政事務に従事した者又は地方公共団体において監査若しくは財務に関する行政事務に従事した者であって、監査に関する実務に精通しているものとして政令で定めるもの
2 普通地方公共団体は、外部監査契約を円滑に締結し又はその適正な履行を確保するため必要と認めるときは、前項の規定にかかわらず、同項の識見を有する者であって税理士(税理士となる資格を有する者を含む。)であるものと外部監査契約を締結することができる。
3 前二項の規定にかかわらず、普通地方公共団体は、次の各号のいずれかに該当する者と外部監査契約を締結してはならない。
成年被後見人又は被保佐人
禁錮以上の刑に処せられた者であって、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから三年を経過しないもの
破産者であって復権を得ない者
国家公務員法 (昭和二十二年法律第百二十号)又は地方公務員法 の規定により懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から三年を経過しない者
弁護士法、公認会計士法又は税理士法の規定による懲戒処分により、弁護士会からの除名、公認会計士の登録の抹消又は税理士の業務の禁止の処分を受けた者でこれらの処分を受けた日から三年を経過しないもの(これらの法律の規定により再び業務を営むことができることとなった者を除く。)
懲戒処分により、弁護士、公認会計士又は税理士の業務を停止された者で、現にその処分を受けているもの
当該普通地方公共団体の議会の議員
当該普通地方公共団体の職員
当該普通地方公共団体の職員で政令で定めるものであった者
当該普通地方公共団体の長、副知事若しくは副市町村長、会計管理者又は監査委員と親子、夫婦又は兄弟姉妹の関係にある者
十一 当該普通地方公共団体に対し請負(外部監査契約に基づくものを除く。)をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人

第252条の29(特定の事件についての監査の制限)
包括外部監査人(普通地方公共団体と包括外部監査契約を締結し、かつ、包括外部監査契約の期間(包括外部監査契約に基づく監査を行い、監査の結果に関する報告を提出すべき期間をいう。以下本章において同じ。)内にある者をいう。以下本章において同じ。)又は個別外部監査人(普通地方公共団体と個別外部監査契約を締結し、かつ、個別外部監査契約の期間(個別外部監査契約に基づく監査を行い、監査の結果に関する報告を提出すべき期間をいう。以下本章において同じ。)内にある者をいう。以下本章において同じ。)は、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、監査することができない。

第252条の30(監査の実施に伴う外部監査人と監査委員相互間の配慮)
外部監査人(包括外部監査人及び個別外部監査人をいう。以下本章において同じ。)は、監査を実施するに当たっては、監査委員にその旨を通知する等相互の連絡を図るとともに、監査委員の監査の実施に支障を来さないよう配慮しなければならない。
2 監査委員は、監査を実施するに当たっては、外部監査人の監査の実施に支障を来さないよう配慮しなければならない。

第252条の31(監査の実施に伴う外部監査人の義務)
外部監査人は、外部監査契約の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、誠実に監査を行う義務を負う。
2 外部監査人は、外部監査契約の履行に当たっては、常に公正不偏の態度を保持し、自らの判断と責任において監査をしなければならない。
3 外部監査人は、監査の実施に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。外部監査人でなくなった後であっても、同様とする。
4 前項の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
5 外部監査人は、監査の事務に関しては、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

第252条の32(外部監査人の監査の事務の補助)
外部監査人は、監査の事務を他の者に補助させることができる。この場合においては、外部監査人は、政令の定めるところにより、あらかじめ監査委員に協議しなければならない。
2 監査委員は、前項の規定による協議が調った場合には、直ちに当該監査の事務を補助する者の氏名及び住所並びに当該監査の事務を補助する者が外部監査人の監査の事務を補助できる期間を告示しなければならない。
3 第1項の規定による協議は、監査委員の合議によるものとする。
4 外部監査人は、監査が適正かつ円滑に行われるよう外部監査人補助者(第2項の規定により外部監査人の監査の事務を補助する者として告示された者であって、かつ、外部監査人の監査の事務を補助できる期間内にあるものをいう。以下本条において同じ。)を監督しなければならない。
5 外部監査人補助者は、外部監査人の監査の事務を補助したことに関して知り得た秘密を漏らしてはならない。外部監査人補助者でなくなった後であっても、同様とする。
6 前項の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
7 外部監査人補助者は、外部監査人の監査の事務の補助に関しては、刑法 その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
8 外部監査人は、第2項の規定により告示された者に監査の事務を補助させる必要がなくなったときは、速やかに、その旨を監査委員に通知しなければならない。
9 前項の通知があったときは、監査委員は、速やかに、当該通知があった者の氏名及び住所並びにその者が外部監査人を補助する者でなくなったことを告示しなければならない。
10 前項の規定による告示があったときは、当該告示された者が外部監査人の監査の事務を補助できる期間は終了する。

第252条の33(外部監査人の監査への協力)
普通地方公共団体が外部監査人の監査を受けるに当たっては、当該普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関又は職員は、外部監査人の監査の適正かつ円滑な遂行に協力するよう努めなければならない。
2 代表監査委員は、外部監査人の求めに応じ、監査委員の監査の事務に支障のない範囲内において、監査委員の事務局長、書記その他の職員又は第百八十条の3(職員に融通)の規定による職員を外部監査人の監査の事務に協力させることができる。

第252条の34(議会による説明の要求又は意見の陳述)
普通地方公共団体の議会は、外部監査人の監査に関し必要があると認めるときは、外部監査人又は外部監査人であった者の説明を求めることができる。
2 普通地方公共団体の議会は、外部監査人の監査に関し必要があると認めるときは、外部監査人に対し意見を述べることができる。

第252条の35(外部監査契約の解除)
普通地方公共団体の長は、外部監査人が第252条の28第1項(外部監査契約を締結できる者)各号のいずれにも該当しなくなったとき(同条第2項の規定により外部監査契約が締結された場合にあっては、税理士(税理士となる資格を有する者を含む。)でなくなったとき)、又は同条第3項各号のいずれかに該当するに至ったときは、当該外部監査人と締結している外部監査契約を解除しなければならない。
2 普通地方公共団体の長は、外部監査人が心身の故障のため監査の遂行に堪えないと認めるとき、外部監査人にこの法律若しくはこれに基づく命令の規定又は外部監査契約に係る義務に違反する行為があると認めるときその他外部監査人と外部監査契約を締結していることが著しく不適当と認めるときは、外部監査契約を解除することができる。この場合においては、あらかじめ監査委員の意見を聴くとともに、その意見を付けて議会の同意を得なければならない。
3 外部監査人が、外部監査契約を解除しようとするときは、普通地方公共団体の長の同意を得なければならない。この場合においては、当該普通地方公共団体の長は、あらかじめ監査委員の意見を聴かなければならない。
4 前二項の規定による意見は、監査委員の合議によるものとする。
5 普通地方公共団体の長は、第1項若しくは第2項の規定により外部監査契約を解除したとき、又は第3項の規定により外部監査契約を解除されたときは、直ちに、その旨を告示するとともに、遅滞なく、新たに外部監査契約を締結しなければならない。
6 外部監査契約の解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。

第2節 中核市に関する特例

第2節 包括外部監査契約に基づく監査