第3節 審理手続


第3節 審理手続

第28条(審理手続の計画的進行)

  • 審査請求人、参加人及び処分庁等(以下「審理関係人」という。)並びに審理員は、簡易迅速かつ公正な審理の実現のため、審理において、相互に協力するとともに、審理手続の計画的な進行を図らなければならない。

第29条(弁明書の提出)

  1. 審理員は、審査庁から指名されたときは、直ちに、審査請求書又は審査請求録取書の写しを処分庁等に送付しなければならない。ただし、処分庁等が審査庁である場合には、この限りでない。
  2. 審理員は、相当の期間を定めて、処分庁等に対し、弁明書の提出を求めるものとする。
  3. 処分庁等は、前項の弁明書に、次の各号の区分に応じ、当該各号に定める事項を記載しなければならない。
    一. 処分についての審査請求に対する弁明書 処分の内容及び理由
    二. 不作為についての審査請求に対する弁明書 処分をしていない理由並びに予定される処分の時期、内容及び理由
  4. 処分庁が次に掲げる書面を保有する場合には、前項第一号に掲げる弁明書にこれを添付するものとする。
    一. 行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二十四条第一項(聴聞調書)の調書及び同条第三項の報告書
    二. 行政手続法第二十九条第一項(弁明の機会の付与の方式)に規定する弁明書
  5. 審理員は、処分庁等から弁明書の提出があったときは、これを審査請求人及び参加人に送付しなければならない。

第30条(反論書等の提出)

  1. 審査請求人は、前条第5項の規定により送付された弁明書に記載された事項に対する反論を記載した書面(以下「反論書」という。)を提出することができる。この場合において、審理員が、反論書を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。
  2. 参加人は、審査請求に係る事件に関する意見を記載した書面(第40条(審理員による執行停止の意見書の提出)及び第42条第1項(審理員意見書の作成)を除き、以下「意見書」という。)を提出することができる。この場合において、審理員が、意見書を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。
  3. 審理員は、審査請求人から反論書の提出があったときはこれを参加人及び処分庁等に、参加人から意見書の提出があったときはこれを審査請求人及び処分庁等に、それぞれ送付しなければならない。

第31条(口頭意見陳述)

  1. 審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者(以下この条及び第41条(審理手続の終結)第2項第二号において「申立人」という。)に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、この限りでない。
  2. 前項本文の規定による意見の陳述(以下「口頭意見陳述」という。)は、審理員が期日及び場所を指定し、全ての審理関係人を招集してさせるものとする。
  3. 口頭意見陳述において、申立人は、審理員の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
  4. 口頭意見陳述において、審理員は、申立人のする陳述が事件に関係のない事項にわたる場合その他相当でない場合には、これを制限することができる。
  5. 口頭意見陳述に際し、申立人は、審理員の許可を得て、審査請求に係る事件に関し、処分庁等に対して、質問を発することができる。

第32条(証拠書類等の提出)

  1. 審査請求人又は参加人は、証拠書類又は証拠物を提出することができる。
  2. 処分庁等は、当該処分の理由となる事実を証する書類その他の物件を提出することができる。
  3. 前二項の場合において、審理員が、証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。

第33条(物件の提出要求)

  • 審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書類その他の物件の所持人に対し、相当の期間を定めて、その物件の提出を求めることができる。この場合において、審理員は、その提出された物件を留め置くことができる。

第34条(参考人の陳述及び鑑定の要求)

  • 審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、適当と認める者に、参考人としてその知っている事実の陳述を求め、又は鑑定を求めることができる。

第35条(検証)

  1. 審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、必要な場所につき、検証をすることができる。
  2. 審理員は、審査請求人又は参加人の申立てにより前項の検証をしようとするときは、あらかじめ、その日時及び場所を当該申立てをした者に通知し、これに立ち会う機会を与えなければならない。

第36条(審理関係人への質問)

  • 審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、審査請求に係る事件に関し、審理関係人に質問することができる。

第37条(審理手続の計画的遂行)

  1. 審理員は、審査請求に係る事件について、審理すべき事項が多数であり又は錯綜しているなど事件が複雑であることその他の事情により、迅速かつ公正な審理を行うため、第31条(口頭意見陳述)から前条までに定める審理手続を計画的に遂行する必要があると認める場合には、期日及び場所を指定して、審理関係人を招集し、あらかじめ、これらの審理手続の申立てに関する意見の聴取を行うことができる。
  2. 審理員は、審理関係人が遠隔の地に居住している場合その他相当と認める場合には、政令で定めるところにより、審理員及び審理関係人が音声の送受信により通話をすることができる方法によって、前項に規定する意見の聴取を行うことができる。
  3. 審理員は、前二項の規定による意見の聴取を行ったときは、遅滞なく、第31条(口頭意見陳述)から前条までに定める審理手続の期日及び場所並びに第41条(審理手続の終結)第1項の規定による審理手続の終結の予定時期を決定し、これらを審理関係人に通知するものとする。当該予定時期を変更したときも、同様とする。

第38条(審査請求人等による提出書類等の閲覧等)

  1. 審査請求人又は参加人は、第41条(審理手続の終結)第1項又は第2項の規定により審理手続が終結するまでの間、審理員に対し、提出書類等(第29条第4項各号(聴聞調書等)に掲げる書面又は第32条第1項若しくは第2項(証拠書類等と事実を証する書類等の提出) 若しくは第33条(物件の提出要求)の規定により提出された書類その他の物件をいう。次項において同じ。)の閲覧(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)にあっては、記録された事項を審査庁が定める方法により表示したものの閲覧)又は当該書面若しくは当該書類の写し若しくは当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面の交付を求めることができる。この場合において、審理員は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧又は交付を拒むことができない。
  2. 審理員は、前項の規定による閲覧をさせ、又は同項の規定による交付をしようとするときは、当該閲覧又は交付に係る提出書類等の提出人の意見を聴かなければならない。ただし、審理員が、その必要がないと認めるときは、この限りでない。
  3. 審理員は、第1項の規定による閲覧について、日時及び場所を指定することができる。
  4. 第1項の規定による交付を受ける審査請求人又は参加人は、政令で定めるところにより、実費の範囲内において政令で定める額の手数料を納めなければならない。
  5. 審理員は、経済的困難その他特別の理由があると認めるときは、政令で定めるところにより、前項の手数料を減額し、又は免除することができる。
  6. 地方公共団体(都道府県、市町村及び特別区並びに地方公共団体の組合に限る。以下同じ。)に所属する行政庁が審査庁である場合における前二項の規定の適用については、これらの規定中「政令」とあるのは、「条例」とし、国又は地方公共団体に所属しない行政庁が審査庁である場合におけるこれらの規定の適用については、これらの規定中「政令で」とあるのは、「審査庁が」とする。

第39条(審理手続の併合又は分離)

  • 審理員は、必要があると認める場合には、数個の審査請求に係る審理手続を併合し、又は併合された数個の審査請求に係る審理手続を分離することができる。

第40条(審理員による執行停止の意見書の提出)

  • 審理員は、必要があると認める場合には、審査庁に対し、執行停止をすべき旨の意見書を提出することができる。

第41条(審理手続の終結)

  1. 審理員は、必要な審理を終えたと認めるときは、審理手続を終結するものとする。
  2. 前項に定めるもののほか、審理員は、次の各号のいずれかに該当するときは、審理手続を終結することができる。
    一. 次のイからホまでに掲げる規定の相当の期間内に、当該イからホまでに定める物件が提出されない場合において、更に一定の期間を示して、当該物件の提出を求めたにもかかわらず、当該提出期間内に当該物件が提出されなかったとき。
    イ. 第29条第2項 弁明書
    ロ. 第30条第1項後段 反論書
    ハ. 第30条第2項後段 意見書
    ニ. 第32条第3項 証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件
    ホ. 第33条前段 書類その他の物件
    二. 申立人が、正当な理由なく、口頭意見陳述に出頭しないとき。
  3. 審理員が前二項の規定により審理手続を終結したときは、速やかに、審理関係人に対し、審理手続を終結した旨並びに次条第1項に規定する審理員意見書及び事件記録(審査請求書、弁明書その他審査請求に係る事件に関する書類その他の物件のうち政令で定めるものをいう。同条第2項及び第43条(行政不服審査会等への諮問)第2項において同じ。)を審査庁に提出する予定時期を通知するものとする。当該予定時期を変更したときも、同様とする。

第42条(審理員意見書)

  1. 審理員は、審理手続を終結したときは、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する意見書(以下「審理員意見書」という。)を作成しなければならない。
  2. 審理員は、審理員意見書を作成したときは、速やかに、これを事件記録とともに、審査庁に提出しなければならない。

第2節 審査請求の手続へ

第4節 行政不服審査会等への諮問へ