第4款 自治紛争処理委員による調停、審査及び処理方策の提示の手続( 第251条の2~第251条の4)

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第251条の2(調停)
普通地方公共団体相互の間又は普通地方公共団体の機関相互の間に紛争があるときは、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、都道府県又は都道府県の機関が当事者となるものにあっては総務大臣、その他のものにあっては都道府県知事は、当事者の文書による申請に基づき又は職権により、紛争の解決のため、前条第2項(自治紛争処理委員の任命)の規定により自治紛争処理委員を任命し、その調停に付することができる。
2 当事者の申請に基づき開始された調停においては、当事者は、総務大臣又は都道府県知事の同意を得て、当該申請を取り下げることができる。
3 自治紛争処理委員は、調停案を作成して、これを当事者に示し、その受諾を勧告するとともに、理由を付してその要旨を公表することができる。
4 自治紛争処理委員は、前項の規定により調停案を当事者に示し、その受諾を勧告したときは、直ちに調停案の写しを添えてその旨及び調停の経過を総務大臣又は都道府県知事に報告しなければならない。
5 自治紛争処理委員は、調停による解決の見込みがないと認めるときは、総務大臣又は都道府県知事の同意を得て、調停を打ち切り、事件の要点及び調停の経過を公表することができる。
6 自治紛争処理委員は、前項の規定により調停を打ち切つたときは、その旨を当事者に通知しなければならない。
7 第1項の調停は、当事者のすべてから、調停案を受諾した旨を記載した文書が総務大臣又は都道府県知事に提出されたときに成立するものとする。この場合においては、総務大臣又は都道府県知事は、直ちにその旨及び調停の要旨を公表するとともに、当事者に調停が成立した旨を通知しなければならない。
8 総務大臣又は都道府県知事は、前項の規定により当事者から文書の提出があったときは、その旨を自治紛争処理委員に通知するものとする。
9 自治紛争処理委員は、第3項(調停案の作成)に規定する調停案を作成するため必要があると認めるときは、当事者及び関係人の出頭及び陳述を求め、又は当事者及び関係人並びに紛争に係る事件に関係のある者に対し、紛争の調停のため必要な記録の提出を求めることができる。
10 第3項(調停案の作成)の規定による調停案の作成及びその要旨の公表についての決定、第5項(調停の打ち切り)の規定による調停の打切りについての決定並びに事件の要点及び調停の経過の公表についての決定並びに前項の規定による出頭、陳述及び記録の提出の求めについての決定は、自治紛争処理委員の合議によるものとする。

第251条の3(自治紛争処理委員の審査及び勧告)
総務大臣は、市町村長その他の市町村の執行機関が、その担任する事務に関する都道府県の関与のうち「是正の要求、許可の拒否その他の処分その他公権力の行使に当たるもの」(次に掲げるものを除く。)に不服があり、文書により、自治紛争処理委員の審査に付することを求める旨の申出をしたときは、速やかに、第251条第2項(総務大臣又は都道府県知事の任命)の規定により自治紛争処理委員を任命し、当該申出に係る事件をその審査に付さなければならない。
第245条の8第12項(市町村の法定受託事務に対する代執行)において準用する同条第2項(文書による是正指示)の規定による指示
第245条の8第12項(市町村の法定受託事務に対する代執行)において準用する同条第8項(代執行の日時、場所及び方法の通知)の規定に基づき市町村長に代わって前号の指示に係る事項を行うこと。
2 総務大臣は、市町村長その他の市町村の執行機関が、その担任する事務に関する都道府県の不作為(都道府県の行政庁が、申請等が行われた場合において、相当の期間内に何らかの都道府県の関与のうち許可その他の処分その他公権力の行使に当たるものをすべきにかかわらず、これをしないことをいう。以下本節において同じ。)に不服があり、文書により、自治紛争処理委員の審査に付することを求める旨の申出をしたときは、速やかに、第251条第2項(総務大臣又は都道府県知事の任命)の規定により自治紛争処理委員を任命し、当該申出に係る事件をその審査に付さなければならない。
3 総務大臣は、市町村長その他の市町村の執行機関が、その担任する事務に関する当該市町村の法令に基づく協議の申出が都道府県の行政庁に対して行われた場合において、当該協議に係る当該市町村の義務を果たしたと認めるにもかかわらず当該協議が調わないことについて、文書により、自治紛争処理委員の審査に付することを求める旨の申出をしたときは、速やかに、第251条第2項(総務大臣又は都道府県知事の任命)の規定により自治紛争処理委員を任命し、当該申出に係る事件をその審査に付さなければならない。
4 前三項の規定による申出においては、次に掲げる者を相手方としなければならない。
第1項(都道府県の関与に対する不服の審査)の規定による申出の場合は、当該申出に係る都道府県の関与を行った都道府県の行政庁
第2項(都道府県の不作為に対する不服の審査)の規定による申出の場合は、当該申出に係る都道府県の不作為に係る都道府県の行政庁
前項(都道府県との協議の審査の規定による申出)の場合は、当該申出に係る協議の相手方である都道府県の行政庁
5 第250条の13第4項(審査申出の期間)から第7項(審査申出の通知)まで、第250条の14第1項(自治事務に関する国の関与についての審査及び勧告)、第2項(法定受託事務に関する国の関与について審査及び勧告)及び第5項(審査及び勧告期間)並びに第250条の15(関係行政機関の参加)から第250条の17(国の関与に関する審査の申出の取下げ)までの規定は、第1項(都道府県の関与に対する不服の審査)の規定による申出について準用する。
この場合において、これらの規定中「普通地方公共団体の長その他の執行機関」とあるのは「市町村長その他の市町村の執行機関」と、「国の行政庁」とあるのは「都道府県の行政庁」と、「委員会」とあるのは「自治紛争処理委員」と、第250条の13第4項(審査申出の期間)並びに第250条の14第1項(自治事務に関する国の関与についての審査及び勧告)及び第2項(法定受託事務に関する国の関与について審査及び勧告)中「国の関与」とあるのは「都道府県の関与」と、第250条の17(国の関与に関する審査の申出の取下げ)第1項中「第250条の19第2項(調停の成立)」とあるのは「第251条の3第13項(調停の成立)」と読み替えるものとする。
6 第250条の13第7項(審査申出の通知)、第250条の14第3項(国の不作為による審査)及び第5項(審査及び勧告期間)並びに第250条の15(関係行政機関の参加)から第250条の17(国の関与に関する審査の申出の取下げ)までの規定は、第2項(都道府県の不作為に対する不服の審査)の規定による申出について準用する。この場合において、これらの規定中「普通地方公共団体の長その他の執行機関」とあるのは「市町村長その他の市町村の執行機関」と、「国の行政庁」とあるのは「都道府県の行政庁」と、「委員会」とあるのは「自治紛争処理委員」と、第250条の17第1項(国の関与に関する審査の申出の取下げ)中「第250条の19第2項(調停の成立)」とあるのは「第251条の3第13項(調停の成立)」と読み替えるものとする。
7 第250条の13第7項(審査申出の通知)、第250条の14第4項(審査の申出に係る協議義務の審査)及び第5項(審査及び勧告期間)並びに第250条の15(関係行政機関の参加)から第250条の17(国の関与に関する審査の申出の取下げ)までの規定は、第3項(都道府県との協議の審査)の規定による申出について準用する。この場合において、これらの規定中「普通地方公共団体の長その他の執行機関」とあるのは「市町村長その他の市町村の執行機関」と、「国の行政庁」とあるのは「都道府県の行政庁」と、「委員会」とあるのは「自治紛争処理委員」と、第250条の14第4項(審査の申出に係る協議義務の審査)中「当該協議に係る普通地方公共団体」とあるのは「当該協議に係る市町村」と、第250条の17第1項(国の関与に関する審査の申出の取下げ)中「第250条の19第2項(調停の成立)」とあるのは「第251条の1第13項(調停の成立)」と読み替えるものとする。
8 自治紛争処理委員は、第5項(「国の関与に関する不服の審査」の準用)において準用する第250条の14第1項(自治事務に関する国の関与についての審査及び勧告)若しくは第2項(都道府県の不作為に対する不服の審査)若しくは第6項(「国の関与に関する不服の審査の申出」の準用)において準用する第250条の14第3項(国の不作為による審査)の規定による審査の結果の通知若しくは勧告及び勧告の内容の通知又は前項において準用する第250条の14第4項(審査の申出に係る協議義務の審査)の規定による審査の結果の通知をしたときは、直ちにその旨及び審査の結果又は勧告の内容を総務大臣に報告しなければならない。
9 第5項(「国の関与に関する不服の審査」の準用)において準用する第250条の14第1項(自治事務に関する国の関与についての審査及び勧告)若しくは第2項(都道府県の不作為に対する不服の審査)又は第6項(「国の関与に関する不服の審査の申出」の準用)において準用する第250条の14第3項(国の不作為による審査)の規定による自治紛争処理委員の勧告があったときは、当該勧告を受けた都道府県の行政庁は、当該勧告に示された期間内に、当該勧告に即して必要な措置を講ずるとともに、その旨を総務大臣に通知しなければならない。この場合においては、総務大臣は、当該通知に係る事項を当該勧告に係る第1項(都道府県の関与に対する不服の審査)又は第2項(都道府県の不作為に対する不服の審査)の規定による申出をした市町村長その他の市町村の執行機関に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
10 総務大臣は、前項の勧告を受けた都道府県の行政庁に対し、同項の規定により講じた措置についての説明を求めることができる。
11 自治紛争処理委員は、第5項(「国の関与に関する不服の審査」の準用)において準用する第250条の14第1項(自治事務に関する国の関与についての審査及び勧告)若しくは第2項(都道府県の不作為に対する不服の審査)又は第6項(「国の関与に関する不服の審査の申出」の準用)において準用する第250条の14第3項(国の不作為による審査)又は第7項(「国との協議の審査」の準用)において準用する第250条の14第4項(審査の申出に係る協議義務の審査)の規定により審査をする場合において、相当であると認めるときは、職権により、調停案を作成して、これを第1項(都道府県の関与に対する不服の審査)から第3項(都道府県との協議の審査)までの規定による申出をした市町村長その他の市町村の執行機関及び相手方である都道府県の行政庁に示し、その受諾を勧告するとともに、理由を付してその要旨を公表することができる。
12 自治紛争処理委員は、前項の規定により第1項(調停案を都道府県の関与に対する不服の審査)から第3項(都道府県との協議の審査)までの規定による申出をした市町村長その他の市町村の執行機関及び相手方である都道府県の行政庁に示し、その受諾を勧告したときは、直ちに調停案の写しを添えてその旨及び調停の経過を総務大臣に報告しなければならない。
13 第11項の調停案に係る調停は、調停案を示された市町村長その他の市町村の執行機関及び都道府県の行政庁から、これを受諾した旨を記載した文書が総務大臣に提出されたときに成立するものとする。この場合においては、総務大臣は、直ちにその旨及び調停の要旨を公表するとともに、当該市町村長その他の市町村の執行機関及び都道府県の行政庁にその旨を通知しなければならない。
14 総務大臣は、前項の規定により市町村長その他の市町村の執行機関及び都道府県の行政庁から文書の提出があったときは、その旨を自治紛争処理委員に通知するものとする。
15 次に掲げる事項は、自治紛争処理委員の合議によるものとする。
第5項(「国の関与に関する不服の審査」の準用)において準用する第250条の14第1項(自治事務に関する国の関与についての審査及び勧告)の規定による都道府県の関与が違法又は普通地方公共団体の自主性及び自立性を尊重する観点から不当であるかどうかについての決定及び同項の規定による勧告の決定
第5項(「国の関与に関する不服の審査」の準用)において準用する第250条の14第2項(法定受託事務に関する国の関与について審査及び勧告)の規定による都道府県の関与が違法であるかどうかについての決定及び同項の規定による勧告の決定
第6項(「国の関与に関する不服の審査の申出」の準用)において準用する第250条の14第3項(国の不作為による審査)の規定による第2項(都道府県の不作為に対する不服の審査)の申出に理由があるかどうかについての決定及び第6項(「国の関与に関する不服の審査の申出」の準用)において準用する第250条の14第3項(国の不作為による審査)の規定による勧告の決定
第7項(「国との協議の審査」の準用)において準用する第250条の14第4項(審査の申出に係る協議義務の審査)の規定による第3項(都道府県との協議の審査)の申出に係る協議について当該協議に係る市町村がその義務を果たしているかどうかについての決定
第5項(「国の関与に関する不服の審査」の準用)から第7項(「国との協議の審査」の準用)までにおいて準用する第250条の15第1項(関係行政機関の参加)の規定による関係行政機関の参加についての決定
第5項(「国の関与に関する不服の審査」の準用)から第7項(「国との協議の審査」の準用)までにおいて準用する第250条の16第1項(証拠調べ)の規定による証拠調べの実施についての決定
第11項(調停案の受託勧告と公表)の規定による調停案の作成及びその要旨の公表についての決定

第251条の3の2 (処理方策の提示)
総務大臣又は都道府県知事は、第252条の2第7項(紛争処理のための方策の提示を求める旨の申請)の規定により普通地方公共団体から自治紛争処理委員による同条第一項に規定する連携協約に係る紛争を処理するための方策(以下この条において「処理方策」という。)の提示を求める旨の申請があったときは、第251条第2項(申請の取下げ)の規定により自治紛争処理委員を任命し、処理方策を定めさせなければならない。
前項の申請をした普通地方公共団体は、総務大臣又は都道府県知事の同意を得て、当該申請を取り下げることができる。
自治紛争処理委員は、処理方策を定めたときは、これを当事者である普通地方公共団体に提示するとともに、その旨及び当該処理方策を総務大臣又は都道府県知事に通知し、かつ、これらを公表しなければならない。
自治紛争処理委員は、処理方策を定めるため必要があると認めるときは、当事者及び関係人の出頭及び陳述を求め、又は当事者及び関係人並びに紛争に係る事件に関係のある者に対し、処理方策を定めるため必要な記録の提出を求めることができる。
第3項の規定による処理方策の決定並びに前項の規定による出頭、陳述及び記録の提出の求めについての決定は、自治紛争処理委員の合議によるものとする。
第3項の規定により処理方策の提示を受けたときは、当事者である普通地方公共団体は、これを尊重して必要な措置を執るようにしなければならない。(H26.5改)

第251条の4(政令への委任)
この法律に規定するもののほか、自治紛争処理委員の調停並びに審査及び勧告、審査及び勧告並びに処理方策の提示に関し必要な事項は、政令で定める。 (H26.5改)

第2款 国地方係争処理委員会による審査の手続へ

第5款 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与に関する訴えへ