第5節 裁決
第5節 裁決
第44条(裁決の時期)
- 審査庁は、行政不服審査会等から諮問に対する答申を受けたとき(前条第1項の規定による諮問を要しない場合(同項第二号又は第三号(諮問の例外)に該当する場合を除く。)にあっては審理員意見書が提出されたとき、同項第二号又は第三号に該当する場合にあっては同項第二号又は第三号に規定する議を経たとき)は、遅滞なく、裁決をしなければならない。
第45条(処分についての審査請求の却下又は棄却)
- 処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。
- 処分についての審査請求が理由がない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。
- 審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決の主文で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。
第46条(処分についての審査請求の認容)
- 処分(事実上の行為を除く。以下この条及び第48条(不利益変更の禁止)において同じ。)についての審査請求が理由がある場合(前条第3項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできない。
- 前項の規定により法令に基づく申請を却下し、又は棄却する処分の全部又は一部を取り消す場合において、次の各号に掲げる審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該各号に定める措置をとる。
一. 処分庁の上級行政庁である審査庁 当該処分庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずること。
二. 処分庁である審査庁 当該処分をすること。 - 前項に規定する一定の処分に関し、第43条第1項第一号(審議会の議)に規定する議を経るべき旨の定めがある場合において、審査庁が前項各号に定める措置をとるために必要があると認めるときは、審査庁は、当該定めに係る審議会等の議を経ることができる。
- 前項に規定する定めがある場合のほか、第2項に規定する一定の処分に関し、他の法令に関係行政機関との協議の実施その他の手続をとるべき旨の定めがある場合において、審査庁が同項各号に定める措置をとるために必要があると認めるときは、審査庁は、当該手続をとることができる。
第47条
- 事実上の行為についての審査請求が理由がある場合(第45条第3項(事情裁決)の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、次の各号に掲げる審査庁の区分に応じ、当該各号に定める措置をとる。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁以外の審査庁である場合には、当該事実上の行為を変更すべき旨を命ずることはできない。
一. 処分庁以外の審査庁 当該処分庁に対し、当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更すべき旨を命ずること。
二. 処分庁である審査庁 当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更すること。
第48条(不利益変更の禁止)
- 第46条第1項本文(処分についての認容裁決)又は前条の場合において、審査庁は、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実上の行為を変更すべき旨を命じ、若しくはこれを変更することはできない。
第49条(不作為についての審査請求の裁決)
- 不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。
- 不作為についての審査請求が理由がない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。
- 不作為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言する。この場合において、次の各号に掲げる審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該各号に定める措置をとる。
一. 不作為庁の上級行政庁である審査庁 当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずること。
二. 不作為庁である審査庁 当該処分をすること。 - 審査請求に係る不作為に係る処分に関し、第43条第1項第一号(審議会の議)に規定する議を経るべき旨の定めがある場合において、審査庁が前項各号に定める措置をとるために必要があると認めるときは、審査庁は、当該定めに係る審議会等の議を経ることができる。
- 前項に規定する定めがある場合のほか、審査請求に係る不作為に係る処分に関し、他の法令に関係行政機関との協議の実施その他の手続をとるべき旨の定めがある場合において、審査庁が第3項各号に定める措置をとるために必要があると認めるときは、審査庁は、当該手続をとることができる。
第50条(裁決の方式)
- 裁決は、次に掲げる事項を記載し、審査庁が記名押印した裁決書によりしなければならない。
一. 主文
二. 事案の概要
三. 審理関係人の主張の要旨
四. 理由(第一号の主文が審理員意見書又は行政不服審査会等若しくは審議会等の答申書と異なる内容である場合には、異なることとなった理由を含む。) - 第43条第1項の規定による行政不服審査会等への諮問を要しない場合には、前項の裁決書には、審理員意見書を添付しなければならない。
- 審査庁は、再審査請求をすることができる裁決をする場合には、裁決書に再審査請求をすることができる旨並びに再審査請求をすべき行政庁及び再審査請求期間(第62条(再審査請求期間)に規定する期間をいう。)を記載して、これらを教示しなければならない。
第51条(裁決の効力発生)
- 裁決は、審査請求人(当該審査請求が処分の相手方以外の者のしたものである場合における第46条(再審査請求期間)第1項及び第47条(事実上の行為についての認容裁決)の規定による裁決にあっては、審査請求人及び処分の相手方)に送達された時に、その効力を生ずる。
- 裁決の送達は、送達を受けるべき者に裁決書の謄本を送付することによってする。ただし、送達を受けるべき者の所在が知れない場合その他裁決書の謄本を送付することができない場合には、公示の方法によってすることができる。
- 公示の方法による送達は、審査庁が裁決書の謄本を保管し、いつでもその送達を受けるべき者に交付する旨を当該審査庁の掲示場に掲示し、かつ、その旨を官報その他の公報又は新聞紙に少なくとも一回掲載してするものとする。この場合において、その掲示を始めた日の翌日から起算して二週間を経過した時に裁決書の謄本の送付があったものとみなす。
- 審査庁は、裁決書の謄本を参加人及び処分庁等(審査庁以外の処分庁等に限る。)に送付しなければならない。
第52条(裁決の拘束力)
- 裁決は、関係行政庁を拘束する。
- 申請に基づいてした処分が手続の違法若しくは不当を理由として裁決で取り消され、又は申請を却下し、若しくは棄却した処分が裁決で取り消された場合には、処分庁は、裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。
- 法令の規定により公示された処分が裁決で取り消され、又は変更された場合には、処分庁は、当該処分が取り消され、又は変更された旨を公示しなければならない。
- 法令の規定により処分の相手方以外の利害関係人に通知された処分が裁決で取り消され、又は変更された場合には、処分庁は、その通知を受けた者(審査請求人及び参加人を除く。)に、当該処分が取り消され、又は変更された旨を通知しなければならない。
第53条(証拠書類等の返還)
- 審査庁は、裁決をしたときは、速やかに、第32条(証拠書類等の提出)第1項又は第2項の規定により提出された証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件及び第33条(物件の提出要求)の規定による提出要求に応じて提出された書類その他の物件をその提出人に返還しなければならない。